2019–10–28 (Mon) 21:19
「…遂に手に入れたぞ、悪魔の力を…!」
『お兄ちゃん!』
「…残念だが、俺はもうお前の兄ではない…」
『そんなことないよ!
ちゃんと役所で戸籍確認してきたから、確かにお兄ちゃんだよ!』
「いや、そういう意味ではない」
『戻ってきてよ、お兄ちゃん!今ならまだ間に合うよ!』
「…もう手遅れだ、この身体を見ろ…!」
『大丈夫だよ!そんなちょっと皮膚が黒くなったくらい、
この間買った深夜の怪しい通販クリーナーでピカピカだよ!』
「俺はお風呂のカビ汚れか。
そんなモノでは、我が漆黒の闇は消せぬ…」
『クリーナー掛けた後、
セットで買ったミニジェット洗浄も掛けてあげるから!』
「…深夜の通販番組の、良いカモにされてるな」
『今なら送料、手数料は妹ネットが負担します!』
「完全にアレじゃねえか、なんだよ妹ネットって」
『そんな怪しい通販に頼ってまで兄を取り戻そうとする、
お兄ちゃんはそんな可愛い妹の気持ちを無駄にするの?!』
「とりあえず、本当にお兄ちゃんを思うなら通販には頼るな」
『やれやれだわ…。親の心、子知らずね』
「妹だろ、お前は。
この漆黒の闇に囚われた俺の魂は、通販ごときでは消せん…」
『何よそれ!漆黒の闇、って!何?漆黒って?
漢字で書いたら「漆」だよ?うるし、カブれるの?
お兄ちゃんも触ると、カブれるの?』
「漢字一つだけ抜き出すな、意味変わるだろ。
ていうかカブれないから!俺触っても、カブれないから!」
『あー…、でもお兄ちゃんヒキコモリだし、触ったらカブれそう…』
「カブれないよ!失礼な!
だいたいヒキコモリじゃないし、インドア派なだけだし!」
『ヒキコモリってカタカナで書くと、毒キノコみたいで嫌だね』
「お前の発想が嫌だよ!誰が毒キノコだ!」
『まあでも、ヒキコモリから始まった話だし、
ある意味では毒だとも言えなくもないよね』
「ちょっと何言ってるか、わからない」
『あげくヒキコモリこじらせて、黒魔術やり始めて、
朝起きたら悪魔だよ?無いわー』
「…それ以上言うと、最初の犠牲者はお前になるぞ」
『そんな!愛する妹を、その汚らわしく禍々しい、
溶けて折れ曲がったラッキーアーモンドみたいな手で凌辱しようと言うの?!』
「表現が酷過ぎるだろ!なんで俺の手、
そこまで最低な言われ方しなきゃいけないんだよ!」
『あ、凌辱の方は否定しないんだ。うわー、さいてー』
「そっちもしないから!
…愛する妹に手を掛けられるはずないだろう、もうココから立ち去れ」
『え?立ち去れって、ココ私の家でもあるし、
ていうかお父さんとお母さんの家だし。
むしろ立ち去るなら、なんかよくわかんない悪魔になっちゃった
お兄ちゃんの方が立ち去るべきじゃない?』
「…お前の方が、よっぽど悪魔だよ」
nanaに投稿したモノの、長い版です。
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